初めての漆器
きょうも多く方にご来店して頂きまして有難うございます。
本日は限定品にサイドメニューを二品、御用させて頂きましたが、器でちょぴっと遊んでみました。
鹿肉の赤ワイン煮には黒塗りの漆器。
枝豆の葛豆腐には朱色の漆器。
どちらも明治時代の作。
出所は大鹿村。
私は大鹿村にきて知ったのですが、かつて、村では結婚が決まると披露宴用に漆器を一式新調したようです。
本日、限定メニューに使った漆器は、その誂えもので、木箱の5段積みで蓋のある立派なものです。
蓋には新調した年と月、それは披露宴のあった年と月だと思いますが、それと、それを新調したひと、つまり新郎の名が墨で記されていました。
ふるぼけた木の蓋をあけると、何十年も使われることなく蔵におかれていたのだなと思わせるカビの匂い。
漆器にはうっすらと時代が積もっていて、このまま薪ストーブの焚き付けにしようか・・・と思いました。
漆器のひとつを手にとると、意外なほどに軽い。
厨房にもっていき、洗ってみると、ついさっき作ったばかりのような輝き。
経てきた月日を感じさせない凛としたたたずまい。
漆器の姿をかりて、目のまえに日本人の原型をみるおもいでした。
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