南アルプス、三伏峠。
夜、河原嶋から南アルプスみあげると、星空の下にチラチラと明かりが見えることがあります。
あの灯りのあるところに、三伏峠小屋があるに違いありません。
それは星よりもかすかな光を点滅させていて、いまにも消え入りそうな瞬きでした。
ク~が三伏峠小屋に行きたかったのには、あの灯りのある所に行ってみたいとう思いがあったのに違いありません。
三伏峠登山口から三伏峠までは3時間。
森林限界を越えた稜線が光とすれば、樹林のなかに彷徨をおもわせるように続いている道は陰。光と陰がおりなす3000メートルの山の連なり。その巨体に蟻のようにとりついて三伏峠を目指す。やがて「小屋まであと200歩」の道しるべ。ク~は歩数をかぞえはじめた。・・・99、100。
100を越えたところで、ほんとに200歩ね、と言って数えるのをやめた。めのまえに三伏峠小屋があったからである。
小屋に荷物をデポし、10分ほどの距離にあるという三伏山へ。河原嶋から見上げていた、あの山だ。
三伏山の頂にたつと、はるか足元にひろがっていたのは大鹿村。懐かしい風景だ。
あれは中峯、あれは沢井、あれは梨原、と集落の名を言いあっては、飽きもせずに眺めていました。
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