2019年08月09日
2019年08月09日
南アルプス、三伏峠小屋の窓。
三伏峠小屋の個室の窓からク~はテントを張っている人たちを覗き見していました。
3000メートルの山歩きが初めてなら、テントを張っているのを見るものも初めてだったク~は、三伏峠で見るなにもかもが珍しくで仕方がないのである。
そんなク~が、「あっ」と小さな声をあげてしゃがみこんだ。テントを張っている男と目が合いそうになったのだという。ク~は少し時間がたつのを待って、首をそ~とのばして、顔を窓にちかづけていく。
雨がふってきた。
目の下にはすでに張り終えている大型のテントが二張り、テントのなかからは談笑している青年たちの声が聞こえている。烏帽子岳へゆく途中ですれ違った高校生の山岳部員たちに違いなかった。あのときの部員たちがたてていた山靴の音と、最後尾の若者が背負っていたザックにマントにように括り付けられてバタンバタンと音をたてていた太陽光パネルが思いおこされてきた。
キスリングザックにはいりきらないヤカンやらを持って、仙塩尾根を歩いていた高校生部員。40年もまえの記憶だが、そのなかの一人がスイカを持っていたのには恐れいった。
あの若者たちは今、どうしているだろうか。たしかなことは、生存しているとすれば、私とおなじ今を生きているということ。
太陽光パネルを背負って縦走している山岳部員。
手にヤカンやスイカ持って歩いていた山岳部員。
そのなにもかもが、若者たちの談笑に溶けて夜の帳はおりていきました。

3000メートルの山歩きが初めてなら、テントを張っているのを見るものも初めてだったク~は、三伏峠で見るなにもかもが珍しくで仕方がないのである。
そんなク~が、「あっ」と小さな声をあげてしゃがみこんだ。テントを張っている男と目が合いそうになったのだという。ク~は少し時間がたつのを待って、首をそ~とのばして、顔を窓にちかづけていく。
雨がふってきた。
目の下にはすでに張り終えている大型のテントが二張り、テントのなかからは談笑している青年たちの声が聞こえている。烏帽子岳へゆく途中ですれ違った高校生の山岳部員たちに違いなかった。あのときの部員たちがたてていた山靴の音と、最後尾の若者が背負っていたザックにマントにように括り付けられてバタンバタンと音をたてていた太陽光パネルが思いおこされてきた。
キスリングザックにはいりきらないヤカンやらを持って、仙塩尾根を歩いていた高校生部員。40年もまえの記憶だが、そのなかの一人がスイカを持っていたのには恐れいった。
あの若者たちは今、どうしているだろうか。たしかなことは、生存しているとすれば、私とおなじ今を生きているということ。
太陽光パネルを背負って縦走している山岳部員。
手にヤカンやスイカ持って歩いていた山岳部員。
そのなにもかもが、若者たちの談笑に溶けて夜の帳はおりていきました。
